有料老人ホーム ごんの里 ~土壁と木の温もり~
事業概要
- 有料老人ホーム:定員18人
- デイサービス
- 訪問介護居宅介護支援事業所
建築概要
階数 | 平屋、一部地上2階建て |
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地域制限 | その他の地域 |
防耐火種別 | その他の建築物 |
敷地面積 | 1,014.00㎡ |
建築面積 | 579.30㎡ |
延床面積 | 619.05㎡ |
構造種別 | 木造(軸組・湿式工法) |
設計 | 株式会社風・ジョインウッド |
施工 | 株式会社風 |
工事工期 | 2014年10月~2015年7月 |
木造施設としての工夫
1. 500本以上の木材を使用
リビングから視線を上に向けると、軸組工法ならではのダイナミックな小屋組みを見ることができ、施設とは思えないほど開放的な印象をもたらしている。土、木材の調達のため着工の約10ヶ月前から計画的に準備を進め、国産のヒノキ、スギ、マツを500本以上も使用している。
2. 防耐火の工夫
スプリンクラー設備、火災報知器、案内板などを設置することで防耐火上は「その他の建築物」としている(有料老人ホーム設置運営標準指導指針6(2))。また、高い天井に消火設備を設置するため、消防との調整も行われている。
3. 土壁湿式工法の採用
荒壁の芯には竹と藁縄で組んだ下地を使用し、中塗り、上塗りをかけ、着工から1年程度で概ね完成した。小屋裏の吹き抜け部分まで土壁とすることにより、表面の珪藻土とともに室内の温度調節、空気浄化をし、快適な環境をつくっている。また、上から空気が抜ける構造と、左右に設けられた窓によって、建物内を風が通り抜けて、夏季も快適に過ごすことができる。
施設概要
お年寄りが元気に過ごせるよう、化学的なものを使わず、国産無垢材、土壁、いぶし瓦、柿渋塗料といった自然素材にこだわって建てられた有料老人ホームである。開設当初のようにきれいに保たれた建物からはスタッフの気遣いが感じられ、木、土の温もりとともに安心感をもたらしている。また、月日を追うごとに現れる木の色合いの変化に、スタッフや入居者は愛着を深めている。
木造・木質化の特徴
4. 床に木材を利用する工夫
床一面に超仕上げをかけたヒノキ無垢材を張っている。水廻りは部分的に上から透明なシートを貼るなど、工夫して利用している。ヒノキは水をふき取りやすいことなど、設計者と運営者の間で頻繁に情報を共有することで、トイレも意識的に水拭きのみとしている。
5. キッチンの木質化
老人ホームの中央に位置するキッチンは、木格子で空間を仕切りつつも、スタッフが入居者を見守りやすい環境をつくっている。
運営者・現場で働くスタッフ・設計者の声
- 年月を追うごとに、色合いなど味の出てくるところが自然素材の特徴であり、魅力である。そういった木造の特性を活かすため、運営者と設計者が時間をかけてコミュニケーションをとり、掃除方法をはじめ木の特徴やメンテナンス方法を共有することで、建物全体を上手に維持管理している。[設計者]
- 施設という先入観を持たないで、基本は住宅と同じ視点で考えられている。家のような温かみのある空間は、入居者だけでなく、見学者からも評判がいい。スタッフ募集時には、施設の写真を見て、働きたいと来てくれる方も多い。[運営者]