あくらすJ ~地場産業への貢献を図る木造建築物~
事業概要
- 有料老人ホーム:28人
- デイサービス(通所介護):30人
- 地域交流スぺース
- レストラン
建築概要
階数 | 地上3階建て |
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地域制限 | その他の地域 |
防耐火種別 | 耐火建築物 |
敷地面積 | 797.79㎡ |
建築面積 | 456.74㎡ |
延床面積 | 1,219.67㎡ |
構造種別 | 木造(軸組工法) |
設計 | 大久手計画工房 |
施工 | 株式会社黒木建設 |
工事工期 | 2017年12月~2018年8月 |
木造施設としての工夫
1. 耐火建築物
3階建ての有料老人ホームを建てるには、耐火建築物とすることを要求される。木材をせっこうボードによって被覆する「メンブレン型耐火構造」を採用している。
2. 軸組工法の採用
施工会社が手慣れている軸組工法を採用している。施工経験の豊富な軸組工法を採用することで、工期の短縮にもつながっている。
3. 住宅スケールの空間分割
軸組工法の柱スパンは住宅スケールとし、空間分割を住宅規模としている。入居者に対して、施設ではなく、家だと思って生活してもらえるようなデザインになっている。
4. 職人・地場産業への貢献
住宅などを手掛ける地域の工務店に施工を依頼している。数少ない大規模木造のノウハウを若い職人に伝える良い機会となっている。建具などの内装材についても地元業者を活用することにより、地元の材木などを活用している。
施設概要
あくらすJは地区公園に隣接し、公園や2階建て低層住宅団地と調和した3階建ての建物である。1階はレストラン兼地域交流スペースとデイサービス、2階及び3階は住宅型有料老人ホームとなっている。1階のレストランはオープンキッチンとなっており、地域の人々も気軽に利用できる。有料老人ホームは、食堂に加えて、豊かな共用空間を設けることにより、入居者同士の交流の場を提供している。
木造・木質化の特徴
5. 続き間・縦格子の引戸
続き間には引戸を用い、空間の柔軟な使い分けを可能としている。縦格子とすることで、スタッフの目が行き届きやすい。
6. 天井
スプリンクラー設備と排煙設備を設けることにより、内装制限の適用除外とし、天井にも木材が使用可能となっている。
7. 照明カバー
オリジナルの木製照明カバーを製作し、費用を抑えるとともに、空間に柔らかい雰囲気をもたらしている。
8. 畳の廊下
有料老人ホームの廊下は、畳を採用している。落ち着きのある空間をつくるだけでなく、転倒時の衝撃に備えている。
9. タイル張りの床
1階レストランの床は、土足で利用できるよう、木の内装と同系色のタイルを用いて、空間をまとめている。
10. アンティーク家具
有料老人ホームの食堂は、アンティーク家具で統一することにより、空間に落ち着きをもたらしている。
運営者・現場で働くスタッフ・設計者の声
- 太宰府市では歴史的遺物が出土することもあるため、大規模な地盤工事が不要となる木造を採用している。さらに木造とすることにより工期や費用の削減にもつながっている。[設計者]
- 施工会社の選定に際しては、木造の仮設住宅なども施工している施工会社に工事を依頼した。地元の工務店に依頼をしたこともあり、鉄筋コンクリート造と比べて費用の削減につながり、また、職人の確保も容易であった。[設計者]