あんのんの里 川跡 ~県産材を活かした木造施設~
事業概要
- 有料老人ホーム:26人
- デイサービス(通所介護):15人
- 訪問介護事業所
建築概要
階数 | 平屋 |
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地域制限 | その他の地域 |
防耐火種別 | 準耐火建築物 |
敷地面積 | 2,330.71㎡ |
建築面積 | 803.10㎡ |
延床面積 | 766.00㎡ |
構造種別 | 木造(軸組工法) |
設計 | 加茂建築設計事務所 |
施工 | ヒロシ株式会社 |
工事工期 | 2012年4月~2012年10月 |
木造施設としての工夫
1. 県産木材の活用
県産材を多用した建物全体で使用された木材は、構造・内装材あわせて135㎡となっている。そのうち島根県産木材は、92.63㎡(全体の約68%)となっている。
2. 構造を木で見せる
管柱は、105mm角の無垢材を採用している。食堂と娯楽スペースの間の柱は、燃えしろ設計をした180mm角のヒノキ材を使用している。梁や桁にも無垢材を利用している。特に、梁に施した杉板は、赤身(心材)と白太(辺材)の自然な色合いとなっており、美しい風合いとなっている。
3. 軒裏
軒裏は、木材保護塗料を塗った杉羽目板を活用し、細部まで木質化を図っている。
4. ウッドデッキ
南側のデッキには、水はけの良いヒノキ材が使われている。腰壁とともに、田園風景に馴染む建物の外観をつくり出している。
施設概要
斐川平野の田園風景に映える有料老人ホームとデイサービスからなる高齢者福祉施設。木造の長所を生かした暖かみのある施設となっている。計画当初から地元の島根県産材を活用した施設を計画したいとの想いから、県産材のスギを使用している。床、腰壁、建具に無垢材が利用され、憩の施設として利用者にも好評を得ている。また県産材を利用したことで、県から建設費1億5千万のうち約1千万円の補助を受けている。
木造・木質化の特徴
5. 外壁の木質化
外観の腰壁は杉板張りとしている。メンテナンスは開設後に1回塗装(保護塗料)を行っている。
6. 食堂の木質化
人の集まる食堂・娯楽スペースは集成梁に加えて、杉板張りを施すことにより、木造らしい空間となっている。
スギ無垢材を張った食堂の床は、多少の傷や経年変化によって色合いが変化している。
7. 玄関の木質化
玄関をはじめ、施設全体はバリアフリーとなっている。
外部より玄関へ至るアプローチも、車寄せを斜路としたバリアフリーとなっている。
8. 居室の木質化
居室の床材も、積極的にスギ無垢材を採用している。
運営者・現場で働くスタッフ・設計者の声
- 床、腰壁、軒天にも杉板を張り、無塗装で仕上げることにより、香りや手触りなど、無垢の木が持つ本来の良さを損なわないように配慮している。特に、床に木材を使用するにあたり、職員全員が意識的に、日々の清掃、定期的なメンテナンスを心がけている。モップでの床磨きのほか、専門業者に年1回の清掃を依頼している。[運営者]
- 床材の維持管理(修繕・メンテナンス)には気を遣うが、それを理解した上で木造を選択している。施設全体を無垢材フローリングとしたことにより、住宅の延長線のような、落ち着きのある施設となっている。[運営者]