あっとほーむ鎌倉山 ~枠組壁工法の大規模施設~
事業概要
- 住宅型有料老人ホーム:70 人
※コネクティングルーム12ヶ所
建築概要
階数 | 地上4階建て |
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地域制限 | 準防火地域 |
防耐火種別 | 耐火建築物 |
敷地面積 | 1,434.72㎡ |
建築面積 | 654.44㎡ |
延床面積 | 2,384.02㎡ |
構造種別 | 木造(枠組壁工法) |
設計 | 三井ホーム株式会社 |
施工 | 三井ホーム株式会社 |
工事工期 | 2014年10月~2015年6月 |
木造施設としての工夫
1. 一般流通材による構造計画
地上4階建ての大規模木造建築物となるが、特別な構造材料は可能な限り使用せずに、木造住宅と同じ一般流通材(製材・合板・金物など)で成立させる構造計画としている。また、大部分を工場でパネル化することにより、木造躯体部分のコスト削減・工期短縮を図っている。
2. 1階に実現させた広い空間
1階に広い空間(食堂など)を設けるという課題と、4階建ての1階には相応の耐力壁を配置しなければならないという課題を解消するため、テーブルセットの配置と調和する位置に耐力壁をデザインしている。
3. 地業(杭工事)コストの軽減
木造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて自重が軽い。そのため、地盤補強として杭を打たずに、柱状改良での設計・施工が可能となり、建設費の削減につながっている。
4. 枠組壁工法による高い耐震性確保
基本プランでは最下階の耐力壁が不足したため、バルコニーを持出しで計画していたが、壁線区画に取り込むことにより必要壁量を確保している。
施設概要
木造(枠組壁工法)による国内初(当時)となる地上4階建ての福祉施設である。「あんしん」(医療と介護のワンストップサービスを提供)、「やすらぎ」(緑の多い環境と「木」の質感による温もり)、「つどい」(地域住民に無料開放する「地域交流室」を設置)がこの施設のコンセプトになっている。古都・鎌倉という立地特性を意識して木の質感にこだわった内装が「和」のテイストを醸し出している。
木造・木質化の特徴
5. 木の天井材
エントランスホールには、スプリンクラー設備を設け、内装制限の適用除外により、天井の木質化を図っている。
6. 見付を増やした木の壁材
スプリンクラー設備と排煙設備の設置による内装制限の適用除外により、防煙垂れ壁部分を確保して、杉板壁を施している。
7. 木枠・木製建具
居室とトイレの出入口には木枠と木製建具を使用して、入居者が多くの時間を過ごす空間において、木の質感を高めている。
8. 1階床も木造の床組
スラブ床とすることも可能だが、利用者の転倒時のリスク回避、スタッフの足腰の負担軽減を図り、木床組を採用している。
9. 生活音の軽減
人の出入りが多い室は、床支持スパンを小さくする、集成材を採用するなど、音の伝わりを軽減する対策を取っている。
10. 設備まわりの木枠
天井カセット型エアコンまわりに木枠を取り付けて、無味乾燥になりやすい設備まわりにも装飾を試みている。
運営者・現場で働くスタッフ・設計者の声
- 木造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて上部構造の自重が軽いため、それを支持する地盤の補強方法や基礎の断面仕様も軽くなる。[設計者]
- 設計・施工を一括して請負ことにより、合理的な使用や施工方法に配慮した設計が可能となり、トータルコストの削減につながっている。[設計者]