お産の森 いのちのもり 産科婦人科
篠﨑医院
~住宅スケールの空間による癒し効果のある医療施設~

施設全景
中庭を介して親密感のある病棟部分(左及び奥)、デイルーム(右)を見る
デイルーム天井見上げ【病棟】

事業概要

産科婦人科診療所

  • 病床数:9床

建築概要

階数 地上2階建て
地域制限 市街化調整区域(防火制限なし)
防耐火種別 その他建築物
敷地面積 2,538㎡
延床面積 753.59㎡
構造種別 木造(軸組工法)
設計 株式会社藤木隆男建築研究所
施工 岡部工務店
工事工期 2009年8月~2010年3月

木造施設としての工夫

1. 木造で馴染みやすいスケールにしつらえる

待合室【共用動線】

施設全体を住宅のような親しみやすいスケール感としている。待合室はベイマツによる柱及び登梁、タモフローリングによる床、木製建具及び家具でしつらえ、落ち着いた雰囲気を形成している。分娩室は床はスギ縁甲板、木製建具及び家具でしつらえ、住宅の居室のようなスケール感と安心感を実現している。

 

お産のへや(和室の分娩室)【病棟】

2. 内装制限を受けない部位を中心に木質化をはかる

廊下【共用動線】

柱・梁はスギ、床はスギフローリング、木製外部建具を用い、親しみやすい落ち着いた空間を形成。内装制限が適用される天井の一部には準不燃スギ化粧合板を用いている。

 

入院室出入口建具【共用動線】

廊下に面した全ての入院室の建具は比較的開口幅の広い木製引戸とし、白い漆喰壁にあたかみのあるアクセントとなっている。

 

デイルーム【病棟】

柱・梁はベイマツ集成材、床はタモフローリング、木製の階段及び家具でしつらえ、住宅の居間のような落ち着いた空間を形成。内装制限が適用される天井は準不燃タモ化粧合板。

施設概要

本産科婦人科医院は、中庭を中心に診察室・事務室エリア、入院室エリア、お産・手術室エリア、デイルームで構成されている。院長先生の、小規模な地域医療の拠点は「もう一つのおうち」でなければならないという明確なビジョンのもと、木造住宅のような親しみやすく安心感のある施設を実現している。

木造・木質化の特徴

3. 妊婦検診 診察室【診療】

床はタモフローリング(清掃性向上のためコーティング済)。建具及び家具にも木を用い、安心感のある空間を形成している。

4. スタッフ室【病棟】

床はタモフローリング、建具及び家具にも木をを用い、入院者が安心して訪れやすい雰囲気を形成している。

5. ラウンジ【病棟】

柱はスギ丸太、床はスギフローリングを用い、天井高さを抑えて落ち着きがあり、人が憩いやすいコーナーとしている。

6. 廊下【病棟】

柱及び登梁はスギ、床はスギフローリング、天井(一部)及び建具にも木を用い、木に包まれた温かみのある空間を形成している。内装制限が適用される天井の一部には準不燃スギ化粧合板を使用。

 

7. 入院室【病棟】

梁はスギ、床はスギフローリング。畳敷の小上りにより住宅のような空間を形成。

運営者・現場で働くスタッフ・設計者の声

  • 妊婦さんが住宅に居るように安心してお産ができる施設を目指し、木造の平屋建て(一部2階建て)を選択したため、鉄筋コンクリート造で建てる選択肢はなかった。[運営者]
  • 緊張して来院する妊婦さんが、普段自宅にいるのと同じように安心してリラックスされていることが多いようだ。木の匂いによるアロマ効果で落ち着くという人もいる。鉄筋コンクリート造よりも時間がゆっくり流れている印象がある。[運営者]

施設写真・図面

風除室【共用動線】

外壁材にはベイマツ、建具にも木を用いた寄り付き空間。

エントランス【共用動線】

化粧梁、建具に木を用いたエントランス。

受付【外来】

柱、床、カウンターや棚に木を用い、柔らかい光を発する照明器具を配した受付。

沐浴室/手術室前室【診療】

家具の一部や建具枠に木を用い、安心感を誘発する沐浴室。

入院室(和室)【病棟】

梁はスギ、床は畳、腰壁にスギ板でしつらえた入院室(和室)。

デイルーム手洗いコーナー【病棟】

水がかかりにくい部分に積極的に木を用いた手洗い。