新柏クリニック
~木造耐火構造の技術を用いた3階・混構造の医療施設~

南側外観
西側外観
透析室【診療】

事業概要

透析診療所

  • 透析用ベッド:120台

建築概要

階数 地上3階建て
地域制限 法22条区域
防耐火種別 耐火建築物
敷地面積 3,098㎡
延床面積 3,132㎡
構造種別 鉄筋コンクリート造及び木造、一部鉄骨造
設計 株式会社竹中工務店
施工 株式会社竹中工務店
工事工期 2015年1月~2016年1月

木造施設としての工夫

1. 木を現しで用いて耐火構造を実現

透析室【診療】

診療の中心となる透析室を木造(耐火集成木材による柱・梁架構)とし、柱・梁の木材(燃えしろ)を現しとしている。天井は不燃処理を施したヒノキ材で仕上げ、木のぬくもりが感じられる診療空間となっている。

 

透析室 柱部拡大【診療】

荷重を支持するカラマツ集成材を燃え止まり層(モルタル及びカラマツ集成材)及び燃えしろ層(カラマツ集成材)で被覆し、1時間耐火構造を実現している。

2. 木質系の仕上げを内外に連続させ、温かみのある開放空間を実現

透析室に続く外部軒天井

透析室外部の軒天井は、開口部から1,750㎜張り出し、内部の天井と同一のヒノキ板を用いることにより内外の天井が連続し、空間の広がりを演出している。

 
 

透析室の天井【診療】

透析室ベッド上の天井にはヒノキ板を用い、視覚的な落ち着きや温かさが感じられるとともに、ほのかな木の香りで透析室全体を柔らかく包んでいる。

 

1階エントランス軒天井

1階ピロティに設けられたエントランス空間の軒天井にもヒノキ板を張ることにより、来院者が温かさを感じられる雰囲気を形成している。

施設概要

敷地前面に広がる台地の緑を景観として取り込んだ「森林浴のできるクリニック」をテーマに開放性の高い新しい透析クリニックを目指している。透析に通われる患者が身体だけでなく心も浄化されるような施設となるよう木造化・木質化された空間を形成している。

木造・木質化の特徴

3. エントランスホール【外来】

風除室からエントランスホールへの入口の扉を木板仕上げとし、来院者を温かく迎えるしつらえとしている。

4. 受付【外来】

受付背後の壁面を木板張りとすることにより、来院者に安心感を与えるとともにモダンな雰囲気を演出している。

5. 階段室【共用動線】

トップライトから光が注ぐ明るい階段室の手摺を木製とし、視覚だけでなく触覚からも温かみが伝わる工夫をしている。

6. 透析室【診療】

処置灯以外の天井設備機器はベッド直上を避けて集約配置し、空調は患者が気流を感じにくい全空気式整流ユニットをスパンごとに設置している。

 

照明はまぶしさを低減したアクリル付きのスリット型として梁際に設けるなど、ベッドに寝ている患者の目線で快適な環境としている。

7. 診察室【外来】

診察室のサインの受材には地元の千葉県産材(山武スギ)を用いている。

運営者・現場で働くスタッフ・設計者の声

  • 患者がゆったり過ごせる空間づくりや、インパクトがあり他施設と差別化できる仕掛けとして耐火集成木材に魅力を感じ採用した。[運営者]
  • 医療施設はモダン(現代的)なしつらえが似合うと考えており、耐火集成木材ならば実現できると感じ、実際に開放的なしつらえの実現が可能となった。[運営者]
  • 透析室の床は血液が落ちることがあり、清掃で拭き取れない(特に目地部分)場合があるため、木材ではなくリノリウム仕上げとした。人工透析ではボールペンの芯程度の太さの針を用いることや、患者は年間150回もの透析を行うことにより、血が止まらずに血液が床に落ちる可能性が高いため。[運営者]

施設写真・図面

外構

2、3階透析室の南側に広がる患者の運動療法用フィットネスガーデン。

倉庫等

施設南側の患者用フィットネスガーデンに建てられた軒の深い木造倉庫。